実はガラガラ!?特別養護老人ホームの謎

   

特別養護老人ホームの空室率が増えている。
そんな話をちらほらと聞くようになった。
この10年間、雨後の筍のように大量に増えた老人介護施設。
果たしてビジネスとして成り立っているのか?

元気な高齢者が増えた

一昔前とは異なり、元気な高齢者が増えてきました。

高齢者というと病人だらけという印象がありますが、実際には74歳までの前期高齢者で要支援・要介護認定を受けているのは全体の4.2%でしかありません。そもそも95%くらいの高齢者は元気であり、自宅での生活を充分に送ることができるのです。

後期高齢者(75歳以上)は、そうでもないだろう、ということで調査してみましたが、それでも30%程度しか要支援・要介護の認定を受けていないのです。つまり全高齢者で見たとしても70%くらいの高齢者は支援対象ですらありません。元気な高齢者のほうが大多数なのです。

また、特別養護老人ホームでは「要介護度3」以上を獲得しないと入居資格を満たしません。それ以下の方は基本的には在宅介護になります。そうです、そもそもターゲットとするお客さんの数は少ないのです。さらに、高収益が見込める「要介護度5」の高齢者は貴重な人財なのです。

出典:元気高齢者の割合
https://www.rehouse.co.jp/senior/detail03.html

空室率は50%を超えている!

比較的早期から建設ラッシュが進んだ都市部では空室率が高くなっています。政令指定都市及び東京都区部では利用率は68.2%です。満室経営ができている施設は少ないのです。全体で見ても73.5%ということで、空室がかなり目立ちます。4室に1室が空いているアパート経営などは、誰もやりたくないでしょう。一時的に空いているわけではなく、常時、それくらい空いているのですから。

出典:空き室だらけの「特別養護老人ホーム」
https://president.jp/articles/-/22408

今から介護産業に参入は遅い

残念ながら、今から介護産業に参入しても、事業的な成功を得ることはできないでしょう。100施設以上を経営する大手ですら厳しいのが現状です。

肝心な有料老人ホームの入居率ですが、ワタミ時代に入居率は70%台まで落ち込んでいました。通常、有料老人ホームが健全に経営されるには、85%程度は必要と言われます。入居率は回復しているでしょうか。

ワタミ時代、一時期は73%まで落ち込みましたが、現在は76%まで回復しています。今年度中には80%台に回復させる予定です(目標82%)。今後の3ヵ年計画では、90%以上を目標としています。

出典:ワタミが売却した老人ホームは今どうなっているのか
https://diamond.jp/articles/-/104145?page=3

先ほどの値と同じような水準になっています。比較的マーケティング予算が潤沢であろう、大手企業であっても、この程度の集客しかできていません。実際に利益を出すためには90%以上という、かなり高い入居率を目指す必要があり、このハードルを乗り越えることは容易ではありません。

実際に地方都市では開業後半年が経っても、入居者が1名といった施設もあります。ありとあらゆるビジネスにおいて「集客」は最も重要な要素です。これが困難である事業には手を出してはいけません。

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