ガソリンを生み出す植物が発見されています!
本編
海洋研究開発機構がガソリンを作り出す植物プランクトンを発見しました。
北極海で発見された【ディクラテリア・ロタンダ】炭素数10から38までの炭化水素を合成する能力を持ちます。
石油は炭素数によって複数の油種に分類されています。
炭素数 1~4 :メタン・エタン・プロパン・ブタン
炭素数 5~11 :ガソリン
炭素数 9~15 :灯油
炭素数 14~20:軽油
炭素数 17以上 :重油・アスファルト
ガソリンを合成
炭素数10、11など、ガソリン・灯油を炭化水素を合成する。世界で初めての発見です。
ディクラテリア・ロタンダは環境によって合成量が変わります。
暗い場所・窒素が少ない場所で生産性がアップします。明るい場所の4~5倍を生産できます。
海洋研究開発機構【JAMSTEC】は地球深部探査船【ちきゅう】でメタンハイドレートを採掘する実験などをしています。
海洋地球研究船【みらい】が【チュクチ海】で採取した海水からディクラテリア・ロタンダは発見されました。
チュクチ海はアメリカのアラスカ州とロシアの間にあります。
ロシアの地名から【チュクチ海】と命名されています。
バイオ燃料
植物は生育時に二酸化炭素を吸収します。バイオ燃料を燃焼しても大気中に存在する二酸化炭素の総量は変化しません。
カーボンニュートラル
ボツリオコッカス
燃料の生産が目的の植物は既に存在します。ボツリオコッカスという植物です。航空燃料を生産する試みがあります。
Sustinable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料サステナブル アビエーション フューエル
しかし、ボツリオコッカスは炭素数27~40の炭化水素を光合成します。
そのままでは燃料として使いにくい。
コールタールやアスファルト向け。
接触分解
接触分解という技術により炭素数を減らすことができる。熱エネルギーが必要となる。ガソリンのような低い炭素数を直接、得られると嬉しい。
今回、発見されたディクラテリア・ロタンダから得られた飽和炭化水素の成分は石油と同等です。通常の石油精製施設で取り扱えます。
課題として炭化水素含有量は少ないです。ボツリオコッカスの2.5~20%程度しかありません。ボツリオコッカスは細胞乾燥重量の6割以上をオイルとして回収可能です。ディクラテリア・ロタンダは乾燥重量の1.5~12%程度しか利用できません。ボツリオコッカスのオイルを接触分解するコストと比較して経済性があるかどうかは今後の検証が必要です。
ディクラテリア・ロタンダは植物であるため将来的には品種改良によって収量がアップするという可能性もあります。
野生の植物を長年の品種改良によって現在の農作物になっています。
LNGとLPG
LNGは【液化天然ガス】
LPGは【液化石油ガス】
似た名前でも、この二種類は全く異なる。
LNGは液化天然ガス。⇒ メタンが主成分
LPGは液化石油ガス。⇒ プロパン・ブタンが主成分
炭素数が1,2,3,4と少し違うだけに見えますが、性質は全く異なります。
LNGは【-162℃】に冷却して液化します。
LPGは【常温】でも【0.8Mpa】に圧縮すると液化します。
100円ライターやカセットガスには
ブタンガスが入っている。
LPG運搬船は普通の貨物船に近い。
LNG運搬船とは全く異なる!
外観を見るだけで、明らかに耐圧・断熱能力が優れていることがわかります。
炭素数1,2を運搬するのは大変です。
動画はこちら
まとめ
- ガソリンを合成する植物が北極の海で発見されました。
- 生産量は少ないものの、ガソリンの成分が多く含まれる。
- 将来的にバイオ燃料植物の本命となるかもしれません。