エキスパートシステムとは
エキスパートシステムはAI(人工知能)の種類のひとつです。
エキスパートは専門家
エキスパートとは「専門家」という意味です。医師や弁護士などの専門知識を駆使して、問題解決にあたる職業の方です。専門家(エキスパート)のシステムであるということです。
高度な専門家を育てるためには長時間の教育が必要です。時間が掛かるということは、当然にコストも嵩み、人数をたくさん用意することができません。このエキスパートをAI化することができれば、有益なのではないかというコンセプトが「エキスパートシステム」です。
エキスパートシステムの構築
エキスパートシステムでは「専門家」が日々の経験から獲得した判断の仕方(判断ルール)を辞書化します。この判断辞書をAIが組み合わせて検索することで課題解決ができることを目指しています。
インフルエンザの可能性があるルール
- 体温が38℃を超えていること。
- 全身に関節痛が見られること。
ルールを満たした場合の対応方法
- インフルエンザの検査を行う。
このルールを満たした場合は、インフルエンザの可能性があり、インフルエンザのチェックが必要であるという判断ルールを辞書に登録していきます。
利用時には、患者さんの状態をエキスパートシステムに与えることにより、適切(と考えられる)対処方法を得ることができます。誰が操作しても、同じ結論になるというメリットがあります。
エキスパートシステムの限界
エキスパートシステムは一見して素晴らしいシステムのように見えます。しかしながら、エキスパートシステムが社会を変化させ、専門家の仕事を楽にしたという変化が発生していないのは、皆さんが承知している通りです。
先ほどの例を見ても判るように「辞書をつくる」という工程がネックになっています。インタビューで専門家に情報収集をすることが「できない」からです。インタビューする人は専門家ではないので、うまく情報収集することができないのです。それでは、専門家が辞書を作ればいいかというと、それでも上手くはいかなかったのです。
先ほどのインフルエンザルールは完璧なように見えます。しかし、このような患者さんが来たらどうでしょうか?【真夏にマラソンをしていたら倒れた】というケースです。人間であれば、熱中症である可能性が高いと判断するでしょうが、先ほどのルールにも適合してしまいます。熱中症であれば体温の制御ができず38℃になっていても不思議ではありませんし、マラソンで長距離を走っていれば筋肉痛にもなるでしょう。そんな場合でも【インフルエンザの疑い】と判断してしまうのです。
専門家として適切な回答を得るための辞書を作るのは非常に困難です。
まとめ
たまに名刺に「なんとかエキスパート」とか書かれている方がいますね。日本では、マネージャとかプロデューサとかと並んで【ぼんやりと】使われることが多い言葉ですね。