東京大学の【水素細菌】は二酸化炭素を資源にする!

2022年4月27日

本編

二酸化炭素を食べる細菌
水素細菌(水素菌)が存在します。
どのような用途に利用できるのか?

水素菌は水素をエネルギー源にして
二酸化炭素を栄養源として取り込む。
生体内で二酸化炭素を有機物に変換しながら自ら増殖する。

CO2資源化研究所は【1976年】に東京大学で発見された【UCDI水素菌】の実用化を目指す会社です。
東京大学発のベンチャー企業。

協力企業
大林組
クリーク・アンド・リバー社
大陽日酸株式会社
パナソニック株式会社
森永乳業株式会社

増殖能力
CO2資源化研究所が開発しているUCDI水素菌は二酸化炭素を原料にして24時間で1個体が1600万個に増殖する。
増殖性能に優れた菌です。

UCDIシリーズ
UCDI水素菌を利用した提案が複数あります。
UCDIプロテイン
UCDIフィード
UCDIプラスティック
UCDIフューエル

UCDIプロテイン
UCDIプロテインは畜産・漁業に依存せずに動物性タンパク質を生成する技術です。
牛肉の代わりを目指している。

幸せホルモン
水素菌に含まれるルビスコはセロトニンやメラトニンといった幸せホルモンの誘発を促進します。
⇒ 心を健康に保つ肉になる。らしい。

ルビスコは植物に大量に含まれ地球上で最も多いタンパク質です。
それほど摂取が難しいことはありません。

UCDIフィードは養殖漁業に必要となる【魚のエサ】です。
水素菌を魚粉の代わりにする試みは水産庁も研究に参加しています。

水産庁の資料を見ると養殖漁業ではエサ代の削減が重要とされています。
得体の知れない細菌を食べる魚が少し可哀そう。

2021年3月
水産庁の発表資料によるとかなり魚粉に近い物質の生産に成功!

水素菌を培養するためには水素と酸素と二酸化炭素の比率を維持する必要があります。
水素を大量に消費する。二酸化炭素はあまり消費しない。
人間サイドから見ると、あまりうれしくない特性です。

実際に餌として加工して真鯛の餌として実験しています。
純粋に水素菌のみではありません。
他の原料も混合しています。

おいしくない?
真鯛は水素菌を気に入らなかったようで普通の餌よりも、箸が進んでいません。
養殖漁業に利用するためには改良の余地がありそうです。

魚と人間の味覚は異なりますがUCDIプロテインも美味しくはないのかも?
公式サイトの記述では美食家が満足する味覚を実現することを目標としています。

UCDIプラスティックは水素菌から造られた、石油資源に依存しない次世代のプラスティックです。
スーパーなどで大量消費されている惣菜用のポリエチレン容器の原材料とすることを目指しています。
⇒ 食用ではないので良さそう。

UCDIフューエルは水素菌を利用して燃料を製造する技術です。
イソブタノールの生成に成功。
正式名称)イソブチルアルコール
イソブタノールは持続可能な航空燃料【SAF燃料】として利用することが可能です。

CO2資源化研究所は2019年にバイオジェット燃料生産の特許を取得。
⇒ コストの問題か?量産には至っていません。

近年、合成生物学の進歩により人間に都合のよい物質の生産性を高めた微生物・細菌を作れるようになりつつあります。
水素菌の遺伝子を組み替えることで乳酸やエタノールなどの化学品原料イソブタノールなどのバイオ燃料原料、各種たんぱく質などを生成できる。

食べ物関係は天然の水素菌を利用します。
燃料や化学製品向けは遺伝子を組み替えた水素菌を利用することを目指しています。

動画はこちら

まとめ

  • 東京大学発の企業において水素菌の開発が進められています。
  • 二酸化炭素と水素から有用な物質を作り出す細菌です。
  • 二酸化炭素の有効活用策として、発展が期待されます。

水素

Posted by @erestage