不動産投資のメリットとデメリット

個人でもできる有名な投資手法に不動産投資があります。

不動産投資を勧める怪しいサイトでは
株では長期的かつ安定した収益を上げることはできない。
という論点で書かれていることがあります。

確かにその通りで、日本株に限って言えば日経平均が20年以上かけて1991年の水準に戻ったなど、そんなレベルの有様です。不動産投資の方が有利なのでしょうか?マンション投資を勧める怪しい電話も掛かってきますしね。有利だったら、そんな電話を掛けてこないのではないかと思うのですが。ちなみに、地価は未だに1991年の25パーセント程度です。株より不動産の方が絶望的な気がするのは不動産投資をしていないからなのでしょうか?「金持ち父さん」の本でも妙に不動産投資が勧められていましたが、あれは日本の不動産の話ではないしね。アメリカの不動産は、それは人口が増えているんだから安定して上昇するとは思うよ。日本は減っているので、安定して下落していくんじゃないかなと思うんだよ。

そういえば、「金持ち父さん」の著者である「ロバートキヨサキ」は2017年に株式市場がクラッシュするとの説を2016年に発表していましたね。現実問題として2017年に市場はクラッシュしなかったのですが、まあ不動産投資に誘導したいとか、そういうことなのでしょう。

今度は、簡単に業界規模を比較してみましょう。不動産業界の業界規模は12兆3000億円だそうです。証券業界の業界規模は3兆円程度です。不動産投資の方が有利そうに見えてきますね。ただ、金融業界という括りにすると60兆5000億円になります。不動産業界など取るに足りません。そのあたりが不動産投資のよいところですね。

さて、不動産投資のメリットを書いたところで、以下はデメリットを紹介します。

不動産投資のリスク(デメリット)

空室リスク

賃貸物件の場合、入居者がいなければ収入はありません。
固定資産税や管理費などは支払う必要があるのでマイナスのキャッシュフローが発生します。

不動産の場合、1000万円の中古物件を買っても、固定資産税や管理費の合計は10万円以上かかります。
楽観的に考えても年間に初期投資額の1%以上はコストとして消えていってしまうのです。
空室リスクというのは恐ろしいものなので、できるだけ防がなければなりません。

空室リスクを防ぐためには、自分で客付けを行うか優秀な不動産管理会社に委託する必要があります。
自分で客付けを行うのは現実的ではないので、不動産管理会社に委託しなければなりません。
よく考えてみてください、不動産管理会社は無料で物件を管理してくれるわけではありません。
これもまたコストが掛かるということを忘れてはいけないのです。

もちろん投資信託などの場合は信託報酬を払う必要があるのですが、その比率が違います。
インデックスファンドでは年に1%を超える信託報酬を求められることはほとんどありません。

家賃相場下落リスク

これからはインフレの時代がやってくるとされていますが、金融緩和政策が続いても何も変化がありません。
インフレの時代が来れば不動産経営の方が有利ではありますが、デフレの時代では家賃の上昇は見込めません。
もちろん家賃は大家さんが決めることができるので、何円にしてもよいのですが、入居者が決まるかは別問題です。
近隣の物件の家賃を超える家賃を付けて、客付けができる可能性はゼロに近いでしょう。
この家賃相場は年々下落していきます。なぜなら物件が古くなっていき人口は減るからです。

家賃滞納リスク

家賃の支払いが滞ったときのリスクです。
これは空室リスクと同じように捉えられるかもしれませんが、全く異なります。
民法では借り手保護を重視しているため、家賃を支払わないから追い出すという戦法がとれません。
このあたりは他のビジネスとは異なった点です。例えばラーメン屋でお客さんが無銭飲食したときは警察を呼ぶことができます。
最終的にラーメン代が支払われるかはわかりませんが、問題解決は丸投げすることができるのです。
家賃滞納の場合は最終的には弁護士を呼んで裁判をすることになってしまいます。これには多額の資金が必要になります。

入居時点では信頼できると判断できた入居者も病気になったりするので、いつ家賃支払いが滞らないとも限りません。
家賃滞納リスクに耐えるためには、不動産管理会社に加えて信販会社などを家賃回収の枠組みに入れる必要があります。
最近の賃貸物件では殆どの場合、この信販会社が間に入って家賃保証をしています。
ただ、これもコストが掛かっていることを忘れてはいけません。そのコストは家賃の何パーセントなのでしょう?
長期的な投資でコスト要素が増えることは、それだけで致命的なことなのです。

災害リスク

東日本大震災や毎年のようにおこる豪雨災害による物件の毀損リスクです。
もちろん、壊れた物件にでも入居したいという入居者がいれば気にしなくてもよいのです。
そんな入居者は滅多にいないので自己資本か保険を使って修繕することになります。
保険については火災保険には入るでしょうが、災害系のオプションをつけると高くなります。
損害保険にかかるコストというのも考慮に入れておかないといけません。
意外と固定資産税などより高かったりするのですよ。
なおかつ、仮に保険金が出たとしても修繕するまでの間は入居者が付きません。
大災害後では入居者は物件を引き払うでしょうから、客付けは最初からやり直しです。
復興計画によっては元の場所の居住物件を建てる事ができないケースもあります。

修繕リスク

災害が発生しなかったとして物件は年々老朽化していきます。エジプトのピラミッドのように耐久性があればあまり気にする必要はありませんが、買いたい物件はピラミッドや古墳ではないですよね?マンションの場合は修繕積立金があるので概ね気にしなくても大丈夫ですが、戸建て物件の場合は修繕費の考慮が必要です。入居者が入れ替わるタイミングでの修繕も必要ですし、入居者に転嫁できればよいのですがうまくいかないケースもあります。最近流行りの木造アパート投資などは物件の寿命が30年程度だとすると、修繕コストが爆発的に嵩むため、実質的に利益が出ることは見込めません。大○建託やレオ○レスのように自分の関連会社で高額の修繕費を請求してくるようなケースもあります。土地の値段が維持できていれば良いですが、急落するのであれば初期投資コストを回収できる可能性はありません。

リスクを前提にワーストケースを考える

特に株式投資ではワーストケースを考えることが勧められています。
不動産投資においてもコストのワーストケースを考えてみましょう。

人気の無い郊外に1000万円の物件を買ったとして、家賃は最初月額8万円という強気の設定をしたが、最初の半年は誰も入居してくれない。(8×6=48万円のマイナス)最終的に値下げに追い込まれ月額5万円でしか客が付かなかった。(毎月3万円のマイナス)固定資産税や都市計画税は年間8万円かかる。(毎年8万円のマイナス)火災保険料は年間2万円かかる。(毎年2万円のマイナス)入居後、半年間一度も家賃を支払わなかった入居者が失踪する。(5×6=30万円のマイナス)残された家財道具の処分などに10万円かかる。(10万円のマイナス)自分での客付けは諦めて月額5000円で不動産管理会社に委託することにする。(毎月5000円のマイナス)不動産管理会社から月額1万円の広告料を付けて雑誌広告を出すことを勧められる。断ると半年間何の音沙汰もなかった。この物件は不人気なようだ。諦めて広告料を支払ったところ、5ヵ月後に無事に客は付いてくれた。(5万円のマイナス)

と・・・書いていると悲しくなってきました。
無事でも年間13万円のコストが掛かります。
ここで紹介したケースだと年間100万円近くかかってしまいます。

投資

Posted by @erestage